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小説書きの嘆きを訊く「文派の個独」

第三回 佳情氏
官能小説 佳情
官能小説 佳情
http://kajo.h.fc2.com/

(2008年3月掲載)




わたしについて
皆さん、初めまして。
『官能小説 佳情』の管理人、佳情です。
わたしについて、簡単に自己紹介をしましょう。作風は、純愛・甘め・切なめ、エッチはサイトのタイトル(『官能小説 ~』)から考えれば控えめです。代表作は、『耳』シリーズなどです。

『文派の個独』のコンセプトに沿って、ここでひとつ、わたしの『小説書きとしての体験や失敗、所感等』について、お話ししてみることにしましょう。


テーマは『キャラクター作り』
わたしが取り上げようと思うのは、『キャラクター作り』にまつわる悩みです。
ここでいう『キャラクター作り』とは、登場人物の容貌や名前、性格、性癖、年齢、能力、経歴、言葉遣い、髪型、服装、親族関係、交友関係といったものの設定をすることです。

小説において、登場人物の魅力が大事であるというのは誰でも頷いてくださることだと思います。したがって、登場人物の魅力に直結する『キャラクター作り』がいかに大事か、それも簡単に理解してくださることでしょう。


悩みその1 - 時間がかかる!
では、具体的にいって、なぜ『キャラクター作り』が悩みの種であるのか?
その理由は、大きく分けて3つほどあります。第一に挙げられる理由は、とにかく時間を食う作業だということです。

たとえば、新しい女性主人公(ヒロイン)を作り出すことを考えてみましょう。

ヒロインというのは、男女が登場する小説で最も重要な登場人物といえます。彼女の魅力が、小説の魅力・価値であると言い切ってもよろしい。
そのため、ヒロインは慎重に造形し、できれば納得のいくまでやり直したいところです。
ところが、小説を書くのに使える時間は限られています。いつまでもヒロインの『キャラクター作り』で留まっている訳にはいきません。そのため、納得がいかなくても見切り発車で話を進めることがあり、そういう話は大抵失敗してしまうのです。

『キャラクター作り』には時間がかかる。しかも、使える時間は有限である。これが、『キャラクター作り』にまつわる第一の悩みというわけですね。


悩みその2 - 試行錯誤の繰り返し
『キャラクター作り』にまつわる第二の悩みは、とにかく試行錯誤の繰り返しだということです。

これを説明するため、今から具体的に一人のヒロインを作り出してみることにしましょう。


実例 - 『かぐや姫』から
ヒロインを作り出すのに方法はいろいろあります。その中で最も簡単なのは、既にある設定から考えていくことです。

たとえば、日本的な典型的美女として、『かぐや姫』が挙げられるでしょう。その設定から、新しいヒロインを生み出すことはできないでしょうか。


年齢・容姿・所作
とりあえず、時代・年齢については、現代に生きる高校生という設定を使うことにしてみましょう。

イメージは『かぐや姫』なので、髪は長めの黒髪です。目は黒めで濡れていて、顔立ちは凛としている。肌は色白でしょう。背はそれほど高くないのですが、スタイルもよく、所作が綺麗で、挨拶や言葉遣いも丁寧な女の子という設定ができるでしょう。




(ヒロインを、竹田さんとします。男主人公を、藤原くんとします)

「おはようございます、藤原くん」

「ああ、おはよ、竹田さん。・・・傘、持ってきてたね。雨が降るの?」

竹田さんは、青い傘を持って登校してきていた。



「はい、今日は雨が降るようですよ。天気予報では、そう言っていました」

「あちゃ、そうなのか」

「はい。傘をお持ちでないようですが、大丈夫ですか。わたしの傘をお使いになりますか?」



そう言われて、僕は彼女の方を見た。彼女の肩幅は狭く、華奢な体をしている。制服から伸びる細い腕は、とても白い。

傘を差さずに帰ったりしたら、彼女はあっという間に風邪を引いてしまうだろう。



「ダメだよ、そんなこと言っちゃ。竹田さん、風邪引いちゃうよ?」

「大丈夫です。これでも丈夫な方なんですよ」

彼女はそう言って微笑む。その笑顔に、思わず見とれそうになる。



いや、そうじゃなくて。



「そんなこと言っちゃ、ダメだよ? 丈夫なら、過信しないように余計に気をつけないと」

「まあ。面白いことを言うんですね」



そういって、彼女はクスクスと笑った。




「もし雨が降ったら、一緒に帰りましょう。それなら、構いませんよね?」

「え・・・?」

「わたし、もっと藤原くんとお話がしてみたくなりました。帰るときは、待っていてください」

僕が呆然としている間に、彼女はそう言って自分の席に戻っていった。




というような具合で。




性格
性格は、どうしましょうか。

『かぐや姫』の性格は、冷たいわけではないと思います。求婚者に無理難題をふっかけていましたが、それは月に帰るという定めがあったからですね。おじいさんやおばあさんには思いやりがあったのではないでしょうか。また、求婚者の一人が怪我をしたとき、可愛そうだと同情したこともあったようです。

そういうところから考えると、優しいし温かいけれど、パッと陽気という訳ではない感じになりそうです。




「本当に、雨、降っちゃいましたね」



僕は結局、竹田さんと一緒に帰ることになった。

竹田さんは、僕に自分の持ってきた大きな傘を渡してくれた。

「・・・悪いよ、こんなの使えないって」

「大丈夫。わたし、折り畳み傘は持っていますから」

そういって、彼女はカバンから小さな傘を出し、差してみせた。



それはとても小さくて、今日みたいな強い雨ではあまり役に立ちそうにない。



「じゃあ、逆にしない? 僕がその傘を使うよ」

「それでは、藤原くんが濡れてしまいます」

「竹田さんだって、その傘じゃ濡れちゃうよ」

「わたしは大丈夫です」

「そう言われても、なあ」



僕らはしばらく言い合っていたが、

「雨が強くなっています。このまま話し込んでいるより、帰り始めた方がよさそうですよ」

そういって、彼女は先に雨の中に出てしまった。



しかたなく、僕は彼女を追いかけた。




だが、しばらくいかないうちに、強い雨が竹田さんの傘の中まで吹き込んでくる。



・・・だから、言わんこっちゃないのに。



「竹田さん」

「何ですか?」

「・・・その、ゴメン」

「構いませんよ。あなただって、濡れてるじゃないですか」

「そうじゃなくて」

「はい?」



「下着、透けてる・・・」



僕がそう指摘すると、竹田さんは自分の胸元を確認した。そこには、濡れて役に立たなくなった白い制服ごしに、パステルグリーンのブラジャーが。



「あっ、・・・」



竹田さんは、小さく悲鳴を上げ、朱が差した顔でこちらを見た。恥ずかしいような、怒っているような、そんな表情だ。



「わたしより先に気づくなんて、藤原くんは、意外にエッチなんですね?」





指摘してあげたのに、僕は彼女にエッチだと怒られてしまった。




(なぜこういうシチュエーションなのかは不明・・・とっさに思いついたのですが、ええ! 筆者の隠れた趣味とか? (^^; )



しかし、おとなしい性格で描くなら、高校生ではなく、もう少し大人の女性でもいいかもしれません。このあたりは考慮の余地ありです。


恋愛経験
恋愛経験についても、いろいろ考えなければなりません。

『かぐや姫』は、5人の貴族から求婚され、帝からも言い寄られていたわけですが、結局誰とも結ばれずに月に帰っています。しかし、これをそのまま流用したのでは、男女が結びつく小説は書けません。わたしは男女が結びつく小説を想定しているので、これではいけないのです。
どこを変えればいいのか。いろいろと考えられますが、わたしなら、「いろいろな男の子から思いを打ち明けられた経験はあるけれど、OKをしたことはない」というように変えてみます。
これに付け加えて、「まだ自分自身の恋愛の経験がない。なぜか、恋愛というものに人並みに憧れを抱くことができず、誰かに恋をするということが『どうしても、できない』。」というように設定をしてみることにします。


裏設定
そうなると、その理由づけが必要になるわけです。

これについては、裏設定として、「彼女は月世界に帰った『かぐや姫』が、その死後に生まれ変わった存在なのだが、『かぐや姫』が地上で生まれることを望んだために、ペナルティとして恋愛感情を封じ込められている」というものを考えてみました。

そうなると、彼女に前世の記憶があるかどうかをハッキリさせておきたいですね。現在、『かぐや姫』であった頃の記憶や、恋愛感情を封じ込められた経緯についての記憶はないが、ストーリーが進めば戻ることもある、というようにしておけば十分でしょう。




「それ以上、・・・先を話さないでください」



これから告白しようとした僕に、竹田さんは寂しそうに笑った。



「藤原くんとは、本当に、いいお友達でいたいんです」

「でも・・・」



「ええ、わかってます。藤原くんが言いたいことは。もう、友達同士ではいられないって、そう言うんでしょうね。

でも、どうか、藤原くんのその気持ちを、わたしに告げないでくれませんか」

「どうして。どうして、気持ちだけでも、伝えさせてくれないのかな・・・?」



僕は、おかしなことをいう竹田さんに尋ねた。

僕を振るのはいい。よくはないけど、いい。

でも、なぜ、僕の気持ちを伝えさせてくれないのか。そういうのは、なんだか卑怯だ。

だけど、彼女は、そんな卑怯なことをするような人ではなかったはずだ・・・。



「藤原くんと、いいお友達でいられた。その思い出を、大事にしたいから」

「・・・ゴメン、それじゃ、わからないや・・・」

「ええ・・・、きっと、そうでしょうね・・・」



竹田さんは、哀しげに息を吐いた。



「・・・わたしは、どこかおかしい人間なんです。何か、人間らしいものが欠けてるんだと思います」

彼女はそう言った。僕は、無言で先を促した。



「藤原くんは・・・誰かを、好きになったことがありますか? ・・・あ、こういう訊き方はよくありませんね。

誰かに恋をする、その気持ちを感じたことがもちろんあるんだと、思います・・・」

彼女の表情は気まずそうで、とても歯切れが悪かった。

もちろん、彼女の言葉の通りだ。僕は恋を知っている。竹田さんのことを想っているのだから。その気持ちを、たった今も、感じているのだ。

竹田さんだって、それは痛いほど分かっているはずだ。



僕の視線を感じて、彼女は身をよじった。



「ですが、わたしにはそれがないんです。

わたしのことが好きだと言ってくれた男の人は、大勢いました。

それに、わたしの友達の女の子たちだって、みんな、いつも誰かが好きなんです。簡単に、誰かに恋をして、恋を楽しんでいるんです。

・・・それなのに、わたしは、どうしても誰かを好きになれません。



誰かと付き合ったら、その人のことを好きになれるかもしれないと思って、2、3人の人と付き合ってもみました。

だけど、そんなことはありませんでした。

その人たちのひとりは、最後に、『お前、俺のことに全然興味がないんだろう』って言い捨てていきました。

彼の言ったことは、まったく本当のことでした。・・・だから、ショックでした」



彼女は目を閉じた。



「わたしは、結局、その人たちを利用しただけです。気持ちを、踏みにじったんです」



そう言って、彼女は細く息を吐いた。今にも、泣き声が聴こえてきそうな息だった。



「わたしは・・・、人間として、何か、情みたいなものが欠けているんだと、思います。

だから、人を好きになれない。

男の人の友達だって、藤原くんが初めてでした。これから先、きっともう、二度とないんだと思います。誰か男の人と、藤原くんと過ごせたような暖かい時間をすごせることは・・・。

だからせめて、藤原くんとの思い出は、大事にしたいんです。



ですから、何も言わないで。藤原くんの気持ちを話さないでくれませんか」




そう言って彼女は、唇を噛み締めた。

それから、涙をこらえるために、鼻をすすり上げた。




そんな彼女に、僕は・・・。




上の話では、設定や会話に若干凝りすぎている嫌いがあります。このあたりも、改善の余地はありそうです。
ちなみに、恋愛経験ゼロという設定を既に上のモデル会話で変えてしまっていることにお気づきでしょうか? すでに、試行錯誤は始まっているのです!


名前
そして、彼女の名前ですが、『かぐや姫』といえばなので、『美月(みづき)』という名前にしてみましょう。
わたしは、キャラクターの名前をつけるのを一番最後にしてしまいがちです。やはり文章では、名前が一番に人の印象を与えてしまいますから。


このあとに辿る道筋
この程度のミニ・ストーリーを構成する段階になると、少しずつ本編のストーリーも作りながら、さらに考えることになります。後述するように、ストーリーを作る段階で設定を細かく変えたり、付け加えることがあり、場合によっては完全にやりなおしたりすることもあります。
先ほど、高校生ではなく大人の女性にしてはどうか、とか、裏設定等について凝り過ぎているかもしれないと書いたところは、たいてい、ストーリーを作っていく途中でボツにしたり再び採用したり、を繰り返す箇所になります。

最後まで悩みながら、ストーリーとキャラクターとの細かな微調整が繰り広げられ、作品ができていくのですね。

(なお、上記で作った美月ちゃんは、このコラムのために作った女の子です。彼女が主人公のお話を『官能小説 佳情』で掲載しているわけではありません。少なくとも、今のところは!)


『キャラ作り』にまつわる不思議
実際の『キャラクター作り』は、まず容貌から考えたり、ツンデレキャラという限定をつけてそこから考えたり、別の方法を使うことも多いです。
また、行き詰ったので全部設定を破棄したり、別のキャラで考えていた設定をくっつけてみたりということもあります。

ともかく、最終目標は、「魅力あるキャラクターを作り出すこと」です。

しかし、どういう要素の組み合わせがキャラクターを魅力的にするのか、それがわからない。
たとえば・・・、
ブスより美女が魅力的だ。一般的にはそうかもしれません。
性格は、ツンデレがいい。あるいは素直クールがいい。そういう人もいるでしょう。
言葉遣いが変わっている方が萌える。小説でそれが重要なのは否定しません。
ところが・・・、不思議な話、都合のいい要素を組み合わせただけではダメなのです。
魅力的なキャラクターというのは、モテる人のようなものです。一般的にはマイナスに評価される要素まで、読者に愛らしいと思わせてしまいます。
そのように思わせる、魅力の鍵は何なのか。その鍵は、未だ見つかりません。
そのために、小説書きは孤独な試行錯誤を繰り返しているといえるでしょう。
ここに、『キャラクター作り』の悩みがあり、面白みがあるのです。

実際に小説を書くときには、せめて書き手自身はキャラクターを魅力的だと思えるまで、試行錯誤を繰り返します。あるいは、書き手の中にキャラクターの素敵なイメージが固定されるまで、試行錯誤するのです。
わたしは、小説を書くに当たってこれにかなりの時間を費やしています。

『キャラクター作り』の第二の悩みがこれであると書きましたが、この悩みこそ一番の悩みなのかもしれません。


第三の悩み - 他人からの評価
さて、第三の悩みに移ります。これは、キャラクターの他人からの評価です。

苦労してキャラクターを生み出し、それを小説として公開しても、必ずしもそのキャラクターが評価されるとは限りません。
小説書きに限らず、モノを作って公開する者全員の悩みでしょうが、公開した作品が評価されないことは嬉しいことではありません。逆に、評価されれば非常に嬉しいことですが!

自分の作り出した想像上の人物の存在が、小説を読んだ大勢の人たちの間で共有されて、カワイイとか憎たらしいとか、そういう風に思ってもらえて、なおかつ、

「この話の続きが読みたい。この登場人物たちはこの後どうしたのだろう?」

と思ってもらえれば、最高ですね。
わたしも何人かのヒロインについて、感想や今後の展開の要望というのを頂きます。非常にありがたいことで、こういったお便りが新たな創作の原動力になります。

しかし、実際に自分の作ったキャラクターが大勢の人に評価されるとは限りません。
自分でも納得できないような状態で世に出してしまった場合は、そういう結果が出てもなるほどしょうがないなと思えます。
しかし、創作段階でかなり力が入っていて「これぞ」と思って出したものに、全然評価が来なかったとなれば、こちらとしても相当ガックリくるわけです!

ともあれ、もっともっと、多くの人に自分の作ったキャラクターを知ってもらいたい。それが、『キャラクター作り』にまつわる最後の悩みです。


まとめ
これで、わたしの『キャラクター作り』についてのお話は、ひととおり済みました。

まとめますと、『キャラクター作り』とは、

1.とにかく時間がかかる
2.王道などなく、本当に試行錯誤の繰り返しである
3.苦労して生まれたキャラだって、評価されるかどうかの保証はない
ということになるでしょう。
まさに、『キャラクター作り』というのは、物語を作る者がひとり黙々と作業しているわけで、『個独』なものだといえます。


謝辞
最後に。
わたしは、ゲームのシナリオを書いたこともなければ、同人誌を発行したこともありません。『官能小説 佳情』を拠点にして、Web上で小説を公開してきました。
このたび、このコラムの執筆を依頼され、前任者お二方の物書きとしての業績と、わたしの業績とを対比してみて、わたしが書いてよいものかなあ、と戸惑いました。・・・が、特にわたしが依頼されたからには、別にわたしが書いてもいいということだろうと開き直り(笑)、思い切って書いた次第です。
この機会を与えてくださったDAIさんに、お礼を申し上げます。

それではまた、別の場所でお目にかかりましょう!

2008/2/24 佳情。
官能小説 佳情



このページに掲載されている文章の著作権は佳情氏に帰属します。無断転載を禁じます。




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